当園では、日常的に「柳沢運動プログラム」を取り入れています。子どもの発達に合わせ、段階を踏んだプログラムを行うことで、着実に運動能力を身につけていくことを目的としています。
取り組みの成果を発揮する場として運動会がありますが、この日のために高度な運動を練習するのではなく、日々の活動から長期にわたってプログラムを繋いでいます。
年齢に合った運動を、全身を使って楽しく行うことで、心身の運動機能の発達を促します。体を動かすことにより、脳の神経回路をつなげ、脳(特に、人間らしさを保つ上で大切な、判断力、理性、自制心等をつかさどる前頭葉)が活性化していきます。脳も体も一番育つ幼児期に、運動の得意不得意に限らず、段階を踏んで体験し獲得していくことで、自信がついていきます。それらによって、様々な効果が表れることも期待しています。
<0~2歳児の取り組み>
0~2歳児は、柳沢運動プログラムを始める前の準備期間となります。
0歳児では、基本的な運動機能や指先機能の発達に合わせ、遊びの中で、階段の昇降や、乗用玩具などを、楽しんで行えるよう進めています。
1歳児では、歩行の確立に伴い、両足跳びや手をつないでの歩き、ボールやフラフープなどの用具を使ったり、走る、跳ぶ、昇る、引っ張るなどの全身を使う運動を、遊びの中で楽しみます。
2歳児では、長距離(片道30分程)を歩いたり、鉄棒にぶら下がったり、巧技台やはしご等を跳んだりくぐったりして運動機能を高め、ボールを使った遊びは、投げる、受け止める、転がす、蹴るなどの動作に発展していく遊びにつなげています。
こうしてじっくりと基本的な運動機能が、身体の成長に合わせて身についていきます。
【0歳児】
寝返り→ハイハイ→歩行
【1歳児】
歩行の確立→階段昇降→ジャンプ
【2歳児】
基本的な運動機能の獲得
・平均台(バランス感覚)
・ろくぼく(バランス感覚、支持力)
・ジャンプ(跳躍力)
<3~5歳児の取り組み>
上記の基本的な運動機能が身についた上で、3~5歳児の幼児クラスで、いよいよ柳沢運動プログラムが本格的に始まります。このプログラムを体系化した「プログラム見通し表」を活用し、到達段階をチェックしながら進めています。
下記は「プログラム見通し表」を簡略化して、それぞれの代表的なプログラムを段階的に記述したものです。3種類の「基礎運動」をバランス良く習得していくことで、4種類の「器械運動」に発展していきます。
(1)「基礎運動」
◎跳躍運動(高く遠くへ跳べる力がつきます)・・・「うさぎ跳び」「両脚をそろえてジャンプ」「つま先でジャンプ」「リズミカルニジャンプ」
◎支持運動(身体を支える力がつきます)・・・「犬歩き」「くま歩き」「小さなカエルさん」「片足くまさん」「カエルの足打ち」「大きなカエルさん」「アザラシ歩き」
◎懸垂運動(握力と腕力をつけていきます)・・・「よじ登り」「ぶら下がり」「渡り棒」「登り棒」
(2)「器械運動」
◎マット運動・・・「ゆりかご」「さつまいも」「じゃがいも」「尺取り虫」「手押し車」「ヒヨコ逆立ち」「側転」
◎なわ跳び運動・・・「なわに慣れる」「なわを張って遊ぶ」「クモの巣渡り」「足切りごっこ」「長なわ小波跳び」「長なわ大波跳び」「短なわ跳び」
◎跳び箱運動・・・「跳び降り」「跳び乗り」「跳び越し」「床上のカエル」「小さなカエル乗り」「大きなカエル乗り」「開脚跳び越し」「助走をつけた開脚跳び越し」
◎鉄棒・・・「跳び上がり」「すずめさん」「後ろ振り跳び」「ぶたの丸焼き」「さるのジャンケン」「こうもり」「えんとつ」「両脚抜き回り降り」「地球回り」「脚かけ振り」「逆上がり」「脚掛け振り上がり」
跳び箱を例に挙げて、プログラムを説明します。
跳び箱を跳ぶためには、「跳躍力」「支持力」「タイミング良く両足を開く」の3つの組み合わせが必要です。そのために、ひとつひとつの動きを分けて、「基礎運動」をじっくり取り組んでいます。
「跳び箱への飛び乗り」で恐怖心と苦手意識を取り除きます。次の「開脚跳び越し」で、最初は助走せずに始め、両手をしっかりついて跳び越していきます。そして自信がついた子から「助走してからの開脚跳び」に移行していきます。
勢いをつければ跳べるという考えで、最初から助走をつけて跳び箱に挑戦することはとても危険ですので、丁寧に段階を踏んで行っています。
【3歳児】
・リングジャンプ(基礎運動:跳躍運動)
・カエルジャンプ(基礎運動:支持運動)
【4歳児】
・跳び箱へのカエル乗り(基礎運動:跳躍運動)
・跳び箱からの開脚飛び越し(基礎運動:跳躍運動)
・片足くまさん(基礎運動:支持運動)
これらの動きを合わせて、跳び箱や鉄棒に挑戦します!
【5歳児】
・跳び箱の飛び越し(器械運動:跳び箱)
やり遂げた子どもたちは、運動面だけでなく、精神面でも「お兄さん」「お姉さん」に成長していきます。
鉄棒の逆上がりでも、同様にプログラムに取り組み、できるようになります。
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